香水の基礎知識

☆ 香り立ちの変化


 香水は1つの香りがずーっと続くのではありません。
香水はいろいろな香料から成り立っているため、 「各香料の濃度」や「揮発性の違い」によって、つけた時間の経過と共におおよそ3段階に変化していきます。
 香りの主張はミドルです。香水はつける人の体温や体臭、場所、種 類、時間、気候等さまざまな条件によって微妙に変化します。
○ トップノート  〜30分くらい
 つけてから30分以内の香り。シトラスやスパイスなど揮発性の高い香りですぐに消えてしまいます。(一般にこの最初の印象だけで香りを決定しない方が良いとされています。)

○ ミドルノート(ハートノート)  30分〜1時間くらい
 その香りのテーマや特徴を最も強く、美しく表現されている部分です。主にフローラルやフルーティー系が多く使われています。

○ ラストノート(ベースノート)  3時間〜
 残り香。主に深みと暖かみのある樹木や動物性香料でムスク、アンバー等が有名です。場合によっては、その人のイメージを決定付けることもあります。

☆ 賦香率による香りの分類

 [ 賦香率 ] (ふこうりつ) というのはアルコールに溶かした香料の割合のことです。一言でフレグランスと言っても濃度は一つではありません。濃度の高い準におおまかに4種類に分類されます。
 同じメーカーの同じ名前の香水でも、『賦香率による香りの分類』によって香り方も価格も違ってきます。香料が多く含まれているフレグランスほど高価格になるため、ご購入を検討される際には、こういうことも考慮されると、より充実したお買い物が出来ると思います。

○ 『パルファム』(香水/Parfum)

 香料の濃度が最も高く完成された最高品質の豪華な香り。調香師が香りをもっとも表現したものです。香料を最も贅沢に使用していて、香りの持続時間も長く、価格も高価になります。
 
 (濃度)15%〜25% (持続時間)5〜7時間

○ 『オードパルファム』(Eau de Parfum-EDP-E/P)

 香りの持続時間が5時間ぐらいで一番『パルファム』に近いのに、量も価格もパルファムに比べてお得で割安感が人気の秘密のようです。レディース用が多く発売されています。
 
 (濃度)10%〜15% (持続時間)5時間前後

○ 『オードトアレ』(Eau de Toilette-EDT-E/T)

 最近人気のフレグランスの中心的存在で、香り立ちのやわらかさが支持を得ています。賦香率が低く通常3時間ぐらいで香りが弱まるのでオフィスでの使用や初めて香りを使用する人向きです。
 
 (濃度)5%〜10% (持続時間)3〜4時間

○ 『オードコロン』(Eau de Cologne-EDC-E/C)

 成分としてはアルコールや蒸留水がほとんどで、リフレッシュ効果があり、使い心地に爽快感があります。基本的に香料もシンプルで量と価格が経済的なため全身にたっぷりと使えます。
 
 (濃度)3%〜5% (持続時間)1〜2時間

☆香水をつける部分

 香水をつける部分によって、その香たちが微妙に変わってきます。TOPや目的に応じてつける部分や量を変えて使えたら香りを纏うのがさらに楽しくなることでしょう。
○ 耳の後ろ
 濃度が高い香水やオードパルファムなどを指先に少量とり、軽く押さえるようにつけます。顔を近づけたときにドキッとするような新鮮な印象を与えられます。

○ うなじ
 女性なら髪がかかるので直射日光を避けられます。濃度の高いものを少量だけつけるようにしましょう。ゆっくりと髪になじんで耳の後ろよりも優しく香ります。

○ 髪の先
 敏感肌の人も安心な箇所。ロングヘアーの毛先に軽くつけておくと、髪がなびく度に香りが広がります。

○ 胸(左胸)
 心臓の上あたりが効果的。自分自信の鼻に直接香りが届く箇所なので量は控えめにしましょう。心臓の鼓動の暖かさがそっと香りを立たせてくれます。ふとした時に優しく香ります。

○ ウエスト
 トワレやコロンをひとふきすると優しく香ります。食事のシーンなど香りに気をつける場所へ行くときはここより下につけましょう。体臭となじんで自然な優しい柔らかい香りになります。

○ 手首の内側(脈のところ)
 脈打つたびに香りが立ち、動きによって周囲に広がります。つけたしもここが効果的。意識的に香りをアピールしたい時につける部分。香水そのものの印象を強くアピールできます。

○ ひじの内側
 スプレータイプの軽い香りを両腕につけましょう。ただし、直射日光があたる季節は要注意。腕時計やアクセサリーをつけているときは手首を避けてこちらにしましょう。

○ 指先
 デートや友達に会うときに。手の動きに合わせてほのかに香ります。ハンカチに香りを含ませてそっと指先を包みましょう。(手を洗うと飛んでしまう香りがあるために本来のバランスが損なわれます。手を洗う度にハンカチで香りをつけましょう。少し上級な使い方です。)

○ ももやひざの内側
 静脈の上につけると効果的です。かすかに香るためジャマになりません。つけたしもしやすい部分です。自然に貴方の香りを印象付けらレます。

○ 足首(アキレス腱)
 歩く度に適度な香りが立ちあがります。衣類を身につける前にトワレなどをひとふきしましょう。

☆ 上手な香りのつけ方

◎ 効果的な香りの使い方のポイント
 香りは同じ香りでも人によって香たちが違ったり、つけ方で印象が変わってくるほどデリケートなものです。香りを上手に楽しむために、使い方のポイントを工夫しましょう。

○ 清潔な場所につけましょう。
 香水を直接肌につける場合、肌を清潔にしておくことが大切です。汗を掻いている肌につけると、汗のにおいと香水の香りが混じって、せっかくの香りも台無しです。ですから肌を清潔にして、汗をかきやすいところをさける方が無難です。

○ 点と線と面
 香水は点で、トワレは線で、コロンは面でつけると効果的といわれます。フレグランスの濃度によって香りの持続時間が違います。ですから、香りのつけ方も特徴によって違ってきます。一番濃度の高い『香水』はポイント的につけましょう。1〜2滴を点の状態でつけます。『オードトワレ』は少し量を増やして線状に香りを広げましょう。更に軽いコロンは手のひらにとってボディ全体に面の状態でつけましょう。

○ アトマイザーを使用すると効果的です。
 ボトルから直接つけるよりも、アトマイザ−を使ってスプレ−したほうが、均一に広範囲につけることが出来ます。しかし、肌がぬれた感じになるのはつけすぎです。20cmほど離してシュッと香りの霧のなかに腕をくぐらせるような感じでつけると良いです。

○ 体温の高い部分につける
 香りは温度の上昇によってにおいを放ちます。その性質を生かして手首、ひじ、ひざの内側、耳の後ろなど、比較的体温の高いところや、髪で隠れる部分につけると香り立ちがよくなります。香りは揮発性なので温められると立ち上ります。せっかくの香りをもっと楽しむためには、できるだけ体温の高い箇所や下半身、脈打つところにつけるとほのかに立ち上ります。

○ つけ始める時間
 出かける20分くらい前につけると、香りに丸みが出ます。なぜならトップの香りはどうしてもシトラスやスパイシ−の刺激的な香調であるためです。ミドルノ−トがその香水の最も表現されている香調です。

○ つけたす間隔
 香水」と「オ−ドトワレ」では香りの持続時間が違います。「香水」でしたら6時間後、「オ−ドトワレ」でしたら4時間後位経過したらつけたすと良いでしょう。

contents